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令和元年8月号


心を耕す


大山町農協が今日まで合併もせず、単独で生き残り、事業運営を継続していられるのも、諸先輩方が困難なことに正面から立ち向かって対処してきた結果ではないでしょうか。今、何処ででも、農業・工業・商業・サービス業といったすべての分野で、知恵を出せ、知恵を出せと言い続けています。それでは、知恵とは何かと問われれば、中中そう簡単に返答ができないのではと思います。知恵とは物事の理を悟り、適切に処理する能力でしょう。良く聞く言葉に、「知恵がついた」とか「知恵を働かせろ」とかあります。仏教、大般若経では、ふつう智慧と表現し、真理を明らかにし、悟りを開く働きのことをいいます。哲学の面で知恵とは、古代ギリシャ以来さまざまな意味を与えられていますが、今日では一般に、人生の指針となるような、人格と深く結びついている哲学的知識を指しています。何故このように御託(くどくどと言うこと。また、倣慢な言い分)を並べたかといいますと、20代の頃、故治美名誉組合長からよく次のような話を聞いていたからです。それは将来の大山の生き方と夢を語るときの言葉でした。
「よいか、大山は優等生教育はしないが、劣等生(成績が特に劣っている学生・生徒)と落ちこぼれは出さないようにする。これが基本だ。そのためには大山流の思想・理念と哲学が大事である。村の人や農家・組合員と話をする時に『思想、理念、哲学とかを勉強しましょう』などとそのような難しい言葉を並べて話をしても誰も振り向きもしないだろうし、逆上せるなと、むしろ敬遠されるだろう。村の人に語るときは、やさしい解りやすい言葉で、何か宗教を勉強してみましょう、と誘いなさい。宗教は仏教・キリスト教・神教・民族宗教、何でもよい。何故かといえば宗教は思想・理念であり、哲学でもあるのです。」といわれたのです。先ず村興しの原点は「心を耕す」ことであったのだと思います。そして、こうも言われました。「優等生は何も手助けしなくても一人で充分やっていける。けれども一人でできない人には皆で手を差し延ばし、落ち毀れないよう手助けをしなければならない。」もうひとつ頭に残っているのは、「大山は余所とは違うことをしていかなければならない。それは条件に恵まれてないということだ。先ず耕地を見てみよ、小さな面積の段々畑や棚田、しかも一農家あたりの平均耕作面積は四反(40a)、鉄道も温泉という観光資源も無く、国道も曲りくねった狭い道路だ。『大山は農産物の種子を蒔くのと同時に知識という種子を蒔いていかなければならない』そうでなければ日本一貧乏な村は、一番先に過疎の村になってしまう」と語っていました。種子を蒔かないのは情熱が無いためです。情熱が無いのは危機意識が無いためです。燃えなくなり種子を蒔かなくなれば終焉です。より高い目標と強烈な思いと願いを持った人が、より高く、より豊かな場所に辿り着くことができるでしょう。条件に恵まれてなくとも、地域自らが個性と豊かさと繁栄を常に考え、求めていくことが大切だと思います。お盆を迎え、ご先祖様やお世話になった方々のことに思いを馳せる中、あらためて大山の先人たちの言葉が深く胸にしみるのでした。
農村は宝の山です。地方にこそ本当の豊かさが眠っています。その土地で生きる人たちが誇れるような暮らしの豊かさを皆で創りあげていきましょう。

 

 

進化するクレソンの高床式栽培

貧しかった大山のムラおこしはN.P.C運動と名づけられています

 

 


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