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平成30年11月号組合長エッセイ

 

満腹から満足へ

 

 先月号でお話ししたように、自らの手で農産物を売り始めたことから「大山鯖街道」が誕生したのです。長崎市の魚市場より約三千匹余の新鮮な生鯖を仕入れして、その日の内にすべて町の人たちに買っていただきました。大山町の戸数は千戸でしたので、計算すると一家庭で三匹を全戸数に買ってもらった事になります。そして町内の方々に大いに喜ばれ「鯖は次はいつ来るとかい」と方方から聞かれ、皆さん心待ちするようになりました。中には「大山に着いたら一番先に私の家に十匹届けてくれ」という人もいました。そんな皆さんの期待に応えなければと、それから四〜五日に一回ぐらいの間隔で同じ生鯖を仕入れして農家・組合員、地域住民に提供してきました。しかし、皆さん段々と飽きもきて購入数も減ってきた頃でした、魚市場の別の人から「あなた達は、こんなに鯖を大量に仕入していきますが、この鯖をどうしているのですか」と問われたのです。どうしているかと聞かれて不思議に思ったのですが「皆で食べています」と返答すると「どのようにして食べているのですか」と再度問われたのです。私はすこし遊び心を出し「口を開け口の中に入れて食べています」と言うと、市場の方も笑いながら「そうではなくどのように調理して食べているのですか」と聞いてきました。私は「刺身やゴマ・ネギと和えた琉球、塩焼き、煮付け、塩鯖にして保存したりして農家の皆さんには美味しく食べてもらっています」と応えました。
しかし、もう皆さんも飽きがきたようで、残品が出はじめたこともあり、ここで一旦停止したいと思い故治美組合長に相談しました。それならばそうしなさいと指示を受け停止、というより終りにしました。
今となっては懐かしく、また楽しかった思い出となりましたが、私にとっては良い経験を得たと思っています。戦後すぐのころ、日本人は何でも胃で食べていたと聞いています。というのも貧しく胃が満たされ、満腹となれば良かった時代だったのです。しかし段々と生活が豊かになり余裕が出てくると、人は味覚を求めて味を確めながら舌で食べるようになりました。そして更に豊かさが増してくると美しい色彩りや、さまざまな形を楽しみ目で食べるようになり、次には変化に富んだよい香り、匂いを嗅ぎながら鼻で食べるようになりました。今は何が健康にいいものかと悩みながら頭で食べる時代に変ってきています。このように貧しい時代は御中が満腹になれば良かったのですが、生活が段々と豊になってくると、満足感を求め、心の満腹を得たいという時代へと変化してきています。そうなってくると私たち大山みたいな、小さな段々畑や棚田しかない狭小な中山間の農村では、条件の整った広い面積の大型農業の産地と同じ作物栽培では成り立ちません。やはり先に述べたように生活者の人たちは、今、何を求めているかを知って、その求めに応じた稀少価値の高いものを提供していくことを考えながら、農産物の栽培に取り組むことの大切さを教えられました。
更に大事なことは、市場に農産物を出荷に行ったトラックの荷台に何も載せずに、空で帰ってきているのであれば「農家の組合員のために魚ぐらい買ってこい」という思想です。今の時代であれば、市場や取引先等に出むきただ挨拶をして手ぶらで帰って来るのではなく「農家・組合員の役に立つ、そして豊かになれる情報のひとつぐらい持って帰ってこい」ではないでしょうか。
このような思いをいつも心に留めおくことを教えられた、本当に貴重な体験でした。

 

進化するクレソンの高床式栽培

満足を提供する 農家おもてなし「おせち」

 

 


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