広瀬大分県知事の大山視察
五月号で四月九日(日)に「五馬媛の里」で開催しました「桜を愛でる小宴」のことを紹介しました。この催しは、日頃よりひとかたならぬご厚情とご支援をいただきながら大変お世話になり、ご指導やお取引を賜っています、様々な業界の方々を約三百余名お招きして感謝とお礼の懇親宴として開かれたものです。その翌日の十日には、広瀬勝貞大分県知事さんも来て下さいました。知事さんの来られたのには二つの目的があります。ひとつは、都築工場(旧榾木センター)の視察です。平成五年に菌床椎茸の榾木を栽培農家に提供するために建設された榾木センターは、最盛期の平成十年頃には、三十一戸の栽培農家に年間百三十五万本の菌床榾木を培養して提供していました。ところがその頃になると全国に生椎茸の生産者が増えると同時に、中国など海外からの生椎茸の輸入も増大してきたために、価格が大きく低迷をはじめました。一番こまったのは栽培農家でした。収支の採算が合わなくなりはじめ、利益が得られなくなり、段々と生産者が生椎茸の栽培から撤退をしていきました。そのような状況の中、平成十八年にはとうとう榾木センターも休止せざるをえなくなりました。その後は、工場を長く休ませる訳にもいかず、黒キクラゲや白キクラゲ、エリンギ、しめじ茸など他の菌茸類の試験栽培にも取り組んでみましたが、大きな成果は得られませんでした。そして今回、思い切って工場をエノキ茸の栽培施設として大増改築したのです。栽培規模も一日の原木入庫が約一万本という数字で大山の平均栽培者の二〇戸分となります。年間収穫量を一一〇〇トンを予定しています。この工場で仕事をしてもらう人は先に紹介しましたベトナムからの若い女性一五名を研修生として招いています。この工場の名称を榾木センターから都を築くと書き、「都築工場」と改名して発展を願っているところです。実はその竣工記念式典と祝賀会を昨年の四月二十三日(土)に開く予定で準備をすすめていたのですが、四月十六日(土)に熊本・大分に巨大地震が発生し、おおくの犠牲者が出て、家屋倒壊や土砂崩れが相次ぎ、その後も大きな余震が続いていたので、このような状況の中では竣工式はすべきでないと判断して、二日後の十八日に式典中止の案内をご来賓の方々に差し上げました。そして、その結果が知事さんの今回の視察に結びついたのです。知事さんは小雨の中、十一時前に都築工場に到着されて、工場内を見ていただき、エノキ茸の発芽の状況や育成の工程を視察し、はじめてのエノキ茸収穫も体験していただきました。最後に研修生のために新築した宿泊施設をみて、包装作業室に入り若いベトナムからの女性の研修生達に、労いと励ましの言葉をかけて下さり研修生たちと記念写真にも納まりました。そして工場をあとにして二つ目の目的地である五馬媛の里に向かいました。
次号に続く

都築工場でベトナムから来た若い女性研修生たちと