26年目の七夕様
七月二十八日(火)午前十時より農協本所二階ホールで「木の花ガルテン部会」生産者の年次総会が開催されましたので出席して挨拶を申し上げました。
木の花ガルテンが誕生オープンしたのが平成二年七月七日の七夕様の日でした。すでに二十五年、四半世紀(一世紀の四分の一)を経過しています。その後この大山の「木の花ガルテン」がモデルとなり、雨後の筍のように日本全国に、道の駅をはじめとする農産物の直売所が次々と誕生していきました。
農林水産省の平成二十一年度の統計(その後更新なし)で見ると日本全国に16,816ヶ所の農産物直販所があり、その合計販売高は8,767億円という大変大きな数字となっています。けれどもそのすべての直販所がうまくいっているとは聞いていません。経営の上からみたとき、収支のバランスが取れ採算が合う直販所は限られているようです。このようなところは、販売されている産品にしても、直接農家が出品するものは少なく、納入業者や卸業者から仕入れする商品のほうが多いようです。
このような状況で農家、農業者のお役に立ち、喜ばれ、感謝されているところとなると少ないようです。そんな直販所や、道の駅は国や県や市町村の補助事業により民間の10倍以上の資金を投入し建設されています。そのうえ、年間管理の収支が賄えず、更に行政機関に運営の赤字損失を補填(不足を穴埋めすること)してもらい、なんとか営業を続けているようです。
こうした建設費の補助金や赤字運営の補填のお金は国民一人一人が「血と汗を流し、身を粉にして昼夜働いて」血の出るような思いで納めた税金ではないでしょうか?
私は思うに、補助事業というものは受けた以上は何としても事業を軌道に乗せ、利益を出し税金を支払い、頂いた補助金は返納するのは当然のことであり、尚それ以上納めてこそ次に事業を行う他の人たちの役に立つというものでしょう。それくらいの責任と使命感を持ってほしいものです。
しかも行政出資の第三セクターともなれば固定資産税も納めず、減価償却費(使用や時の経過などに伴って生ずる機械や施設の経済価値の減少分を計算して耐用年数内の各会計期間に費用として配分処理)の引き当てもせず、施設の修繕、環境整備等もその行政で費用処理されていると聞きます。そのお金は先にも述べました国民一人一人の納めた血税で補うのです。如何にも不条理なことと思えてなりません。
木の花ガルテンは補助事業に頼らず、生産者自らが汗と知恵とお金を出し、真面目に正直に本当に美味しい旬の時期の農産品を、適正な価格で出荷を続けてきたからこそ二十五年という歳月が重ねられたのです。
「野菜や果物は旬の時が最も生命活動が盛んで、食味も良くなり収穫量も増します」この基本を生産者の皆さんは忠実に守り「安全、安心、健康」はもちろん、都市で生活する方々が、買って食べたら誰かに伝え、教え知らせたい気持ちになる「感動とこだわりの産品」を丹精込めて作り続けてきた成果と実績で、二十五年の歳月を迎えることができたのです。
私たちの住む地域と暮らしを、いいえ、生命までも破壊するかもしれないTPP交渉も、国と国のエゴ(利己主義的、自分勝手)と利害が絡み、中々大筋合意に至らず難航しているようです。
今秋の水稲玄米出荷価格も(30s当)4,000円〜4,500円と3〜4年前の半値以下となっています。稲作農家にとっては本当につらい現実です。
そんな状況下ですが、木の花ガルテン出荷産品については生産者の顔が見え、都市生活者との理解と合意形成ができており、真面目に出荷すればやさしく応えてくれます。これからも出荷者全員が力を合わせ、更に満足してもらえるこだわりの産品提供に努めましょう。そして、次世代の子や孫のためにも、大きな夢と希望を抱いて努力しましょう。努力は絶対に人を裏切りません。