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贅沢三昧の反省

 

 10月号で少しお話しましたが、レストランの厨房にまつわる後日談です。平成13年4月20日に「農家もてなし料理 百のご馳走 オーガニック農園」を初めて、木の花ガルテン大山本店に、オープンした時のことです。その竣工式にお招きしていた湯布院温泉の溝口薫平氏、中谷健太郎氏の両社長が、料理の出し入れをする小さな窓より厨房の中を覗き「こんな簡単で狭い厨房で大丈夫か」と心配顔で言われました。両社長の経営するホテルの、設備の整った広い余裕のある完整された厨房からみれば、そのとおり心配になられたのは当然だと思います。まさか両社長が厨房を覗き見るなんて考えもしていなかったものですから、ビックリするやら恥かしいやらで面火の燃える思いでした。しかしながら、流石だと感心いたしました。やはり一流の人になると見る視点が違います。

 両社長は、湯布院が今日のようにまだ有名でなかった、60年代頃より湯布院の地域づくりに取り組み、ゆふいん音楽祭、湯布院映画祭、牛喰絶叫大会など、何処も真似ることのできないようなユニークな企画を次々と打ち出し、全国の注目を集めるようになりました。そして地域にある食材を使った郷土料理の開発などに力を入れ、湯布院を全国一の観光地に育て上げたプロデュース(企画演出)の達人であります。なかでも両社長の経営する高級旅館、玉の湯と亀の井別荘は、有名人の宿泊したいホテルのひとつとしていつもランキングの上位にあります。そんな両社長ですから「農家もてなし料理 百のご馳走 オーガニック農園」という言葉と、「料理を調理するのは、料理人とかシェフと呼ばれる方々ではなく普通の主婦」ということに何か興味を感じたのではないでしょうか、どのような食材をどのようにして、どんな主婦が調理しているかを見たくて、小さな窓から厨房を覗いて見たのだと思います。そして両社長の口から出た言葉が今でも私の心の中に、強く印象深く焼きついています。それは、「効率等の経済効果を考えれば、自分のところの厨房も、もう一度、改めて見直す必要がある」と言われたのです。以前にも書きましたように、私たちにとって初めてのレストラン建設であり経営でありました。また限られた自己資金での建設でした。しかしこの二人の大先輩の言葉が後の日に、私に猛省を促す結果に繋がるのです。それは平成18年4月に大分市の(株)トキハインダストリー明野店に「レストラン オーガニック農園」を出店した時のことです。

 この明野店は、新しく建設した建物への出店でした。すべて新設です。今までの二つの店は、狭かったり、居抜きでの効率を考えた厨房での料理づくりでした。それが三号店は、職員や従業員の希望や要望を百パーセント採用した、贅沢三昧の厨房設備を整えました。これがいけませんでした。室内の空間を広く取ったため、大山店では振り向けば手の届く、包丁や鍋や調理器具の数々も、また食材・調味料も余計に歩かなければ手が届きません。冷凍庫、冷蔵庫も広くし、最高の設備です。しかし、広いものですから管理が充分できず、二重仕入れや余分に材料を入れ、使い切れずに処分したり忘れたりで、無駄な部分が多く発生するという残念な結果が生じました。トータルすれば、ものすごい時間のロスと、手間賃、水道光熱費、減価償却費等々の経費が重さんできました。従来のものに比べれば何もが約三割ほど余分に経費が重さみます。両社長の「効率等の経済効果を考えれば・・・」と言われたあの日の言葉が今更のように私の心によみがえってきました。設計効率と適正規模の大切さをまざまざと知らされると同時に、二度と同じ過ちを繰返しまいと仲間と共に誓い合ったのでした。

 

 

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