野間大池店への出店
お蔭様で木の花ガルテン大山本店にオープンしたレストラン『農家もてなし料理、百のご馳走・「オーガニック農園」』は、主婦(シェフ)の活躍によりお客様にも喜んで頂けるお店となり、客足も順調に伸びてきました。
そうした中、平成15年11月には福岡市の野間大池に二号店を出店することになりました。
福岡市へは平成4年に(株)サニーの長住店に外部店舗としてはじめて、野菜や果物、加工品の直販所を出店していましたが、事情により撤退することになり、代替の物件を探さなければならなくなりました。しかし、中々みつからずに悩んでいました。そんなときでした。当時、注目を集めた、大型商業施設「キャナルシティー」を博多区住吉につくり、有名になっていた福岡地所(株)の榎本一彦社長(当時)をアポイント(予約)なしで、いきなり本社(博多区住吉、キャナルシティービジネスビル10階)を訪問し、面会をお願いしました。いま考えると若かったせいもありますが、ほんとうに失礼で恥かしい無謀な行動であったと反省しています。しかし運が良いというか、何と表現すれば良いか解りませんが、社長室長の桑野隆裕さん(当時)に面会して頂くことができました。平成15年6月5日のことです。私達の事情を事細かく説明申し上げました。そうすると、ありがたいことに桑野室長は「社長との面会の日程調整をしましょう」と言ってくれました。そして翌々週の18日に日程が決まり、お伺いして社長との面会が実現しました。私はこう言ってお願いしました。「私たちは、農業者です。農村を守り地域を豊かにしたいと願う農民が困っています。何とかご協力をお願いします。私たちには夢があります。」と。榎本社長は、上場企業でレストランを全国展開している外食産業の雄、ローヤル(株)の代表取締役会長も兼任されていました。そんな雲の上にいるような存在の社長でありましたが、田舎の小さな農協の話に快く耳を傾けてくれ、いくつかの質問をされました。何故いまサニーのお店から撤退しなければいけないのですか。との問いでした。私はこう答えました。「サニーさんには十年間という随分と長い間お世話になり引き立てていただきました。しかし今、外資系の巨大スーパーチェーンのウォルマートの資本が入り、私たちの思いとはあらゆる面ですこし違うようです。」そのような事情で先様とはご理解を得ての円満な撤退であることを説明申し上げました。
もうひとつは何故この榎本を訪ねてきたのか。というものでした。私は「榎本社長は一流の経営者で、計算づくめではなく情にも厚いと聞いていたからです。」と率直に申し上げたのでした。そんないくつかの問答を繰り返したのち、社長は桑野室長に野間大池にあるローヤル経営のレストランを案内しなさいと指示を出されたのです。すぐにそこに向かい営業中のレストランを拝見させていただきました。当時は同敷地内に隣接してスーパーダイエーも営業をしていました。またその裏、横の二面は野間大池公園となっており、そこには池があり大きな樹々も繁り、自然の多い素晴らしい環境でした。私はその時この公園は今後、たぶん半永久的に市の公園管理のもとに環境整備され、建築物も建つことはないだろうと思いました。そうなれば公園の樹々や景観を借景として利用でき「美しい公園の中のレストラン」となります。見た瞬間、とても気に入りました。そして榎本社長、桑野室長に甘えついでにもうひとつお願いをしました。
次号に続きます。