『旬産・旬味と大山』
 終戦を四才半で迎えた私にとって、幼少期の想い出のひとつにB29の編隊が、貫見方面から飛来し、日田の方へ向かい、しばらくすると地響きがしたのを覚えている。大刀洗飛行場か久留米、小倉を爆撃したという噂話しを耳にした。やがて戦車が未舗装の国道を通り鉄かぶとに「MP」と印のついた外人の兵隊さんが現れた。顔が皆同じに見えた。
 極端な食糧不足の時代で少々の米、大量の芋、麦の入った御飯だった。おやつはショーケにつるされた唐芋だった。白飯を腹一杯食べてみたいというのが子供の頃の夢だった。
 振り返ってみると、
 昭和二〇年代は胃袋で食べた。
   三〇年代は舌で食べた。
   四〇年代は目で食べた。
   五〇年代は頭で食べた。
   六〇年代は心で食べた。
 そして、今、平成の時代は旬のもの、即ち「旬産旬味の香り」で食べたいと思う。
 有機農業で作られた安心、安全の物こそ最高の食と思う。
 私達が日頃、我が家で食べる食こそ究極の食事である。
 「美味求心」で美味、美食を極めた北大路魯山人は、食物をもる器まで自分で焼いた。
 最後にたどり着いたのは、家庭料理だったという。「木の花ガルテンのオーガニックレストラン」は、正に家庭の主婦が得意技を生かしたものであり、何度食べても飽きない究極の「美味求心」である。そして、地元の「食文化」を味わってもらうものである。文化では飯は食えないという人が多い。しかし、農協では今まさにその文化を売り物にしている。
 「苦労は金を出しても買え」とよく言われた。
 かつて、戦争経験のあった人達は、生死をかけた人生体験と貧しさや人情の温かさを知り尽くした達人であった。若い時に非常に苦労をしているので打たれ強い。それは、大きくても折れにくいしなやかな竹である。
 「事業は悪魔」である。仕事を起こした時から意地悪にも潰れる方向へ際限なく迫ってくるものである。
 だからこそ、経営者は順調に事が運んでいる時でも、より安全な将来を求めて日夜をわかたず思考をめぐらす。万一、赤字にでもなれば死に物狂いで全知全能をしぼる。当然の事である。
 仕事とは、昨日と同じ事を今日も踏襲し、立ち止まっている事以上の危うさはない。野性や闘争心を失い守りに入った瞬間に滅びが始まるのは業種を問わず常と思う。農協も例外ではない。
 私は貧乏性なのか、今は上手くいっている木の花ガルテンのレストランや直販所の将来をいつも心配している。
 急にお客さんが来てくれなくなったら、どうしようと夜も眠れない位心配である。株式の世界では、「山高ければ谷深し」という格言がある。売上げが順調に伸び、山が高ければ高いほど、奈落の千仞の谷が待ち構えていると思った方が良い。だから、知恵をこらして頑張るのだ。
 
 
 
 
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