『先見性と大山』
 ベッドに横たわり就眠前の雑読の時間は、私にとって至福の瞬間である。
 歴史書をひもとく事が多い。
 歴史は、過去の出来事であり一見役に立ちそうもない。しかし、今日という日は過去があっての今日であり、将来は、その延長線上にあると思えてならない。過去の歴史に学ぶ事こそ、先見力を養う源泉であると思う。
 戦国時代、各地に群雄が割拠し京を目指して覇を競っていた。その中でも、特に精強を誇ったのが甲斐の武田信玄だった。
 武田の騎馬隊の強さは、周辺の国に恐れられ、戦において敗けを経験した事がなかった。信玄、亡き後、勝頼の代になってもその強さは群を抜いていた。
 ところが、長篠の戦いで、織田、徳川連合軍に大敗を喫し滅亡への道をたどっていった。
 信長は、長篠の合戦で、日本の歴史上始めて五、〇〇〇丁もの鉄砲を配備した。先ず、自軍の前戦に無数の杭を打ち、矢来を組んだ。武田の騎馬隊が行く手を阻まれている間に、三列縦隊に並べた鉄砲隊の最前列が、一斉射撃する。その者達は最後列に下り玉をつめ発射の準備をするという戦法をあみだした。武田の軍勢はなすすべもなく大敗した。
 これは個々の武将の強さではなく、兵の強さでもない。結局「これからは鉄砲」の時代だという事を察知し、いち早く準備した。信長の先見性が、勝利を決定づけたのではないだろうか。
 先見性を持つという事は、指導者にとって極めて大切な事だと思う。逆に、先見性を持たない人は指導者として、失格ではないだろうか。
 町内で、生産される農産物は、諸先輩方の先見性によって育まれてきたものである。
 今日の社会情勢を省みると、かつての三十年が一年のような早さで目まぐるしく変化している。昨日までの常識は今日の非常識といっても過言ではあるまい。事業の継続とは、進化し続ける事である。現状を正しく認識し、ありったけの見識で将来を予見し、手を打つ、その先見性を発揮する事が今日ほど求められている時代はあるまい。
 
 
 
 
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